始め善ければ~「朝の英雄的瞬間」
私が勤めていた小中学校では、子どもたち全員に「朝の英雄的瞬間」ということを教えています。
私自身も、大学生のときにある神父様から教えていただき、それ以来、三十年以上も心掛けています。
「英雄的瞬間」とは何でしょうか。それは何かよいことするために自己の弱さと英雄的に戦う短い時間のことです。
この時間は短いほうがいいのです。できれば一瞬。
その瞬間に素早く英雄的に戦い、勝ちを収めれば、意志はますます強くなります。多少の困難にもめげず、自分の目標を達成できる人になっていけます。
「朝の英雄的瞬間」では、朝、目がさめたら、すぐに寝床から起き上がることが目標です。
ぐずぐずせず、パッと行動することによって、この戦いに勝つことができます。
実際、これはなかなか難しいことです。ふとんの暖かさが恋しい真冬でも、肉体が疲労困ぱいする日でも続けるのです。
もし寝坊をすれば、気分はすぐれず、慌ただしく朝の支度をして、その結果、学校や職場に遅れてしまうこともあるでしょう。
朝食もきちんと取れないこともあり、その後の授業や仕事でも活力が出てきません。
逆に、毎朝、決めた時刻に起床し、最初の瞬間から自己に打ち克てれば、その日の計画もスムーズにいくでしょう。
このように、一日の始めは、その日のあり方を大きく左右します。
他にも「勉強の前の英雄的瞬間」など各場面で自分に打つ克つべき瞬間はありますが、一日の始めは特に大事だと思います。
「朝の英雄的瞬間」に打ち克ち、ひざまずいて短い祈りをささげる。
すると、神様に助けられ、今日もがんばろう、という活力が湧いてきます。
毎日、気持ち良く、一日を始めたいものですね。
ラジオ「心のともしび」2017年1月放送原稿