時間という宝

締め切りを利用して時間を活用する

締め切りというものは有難いものです。

私などは元来怠け者ですから、仕事を頼まれ「いつでもいいよ」と言われると本当にいつでもいいと解釈して、その結果すぐには取り掛からず、そのうち頼まれたことさえ忘れてしまうことがあります。

ところが「○月○日までにやってくれ」と言われると、事情は違ってきます。

締め切り日の有難さ

まずは、その締め切り日までにどれだけの時間があるのか考えます。

ええと、今日は○月◇日だから、あと一週間あるな。でも実際は、この仕事のために一日一時間しか時間は取れないぞ。

そして、その仕事がどれぐらいの分量で、どれぐらい時間がかかるのか推量します。う~ん、この前は似たような仕事に六時間かったから、今回は少し馴れてきたとはいえ、分量が多いからそれ以上はかかるだろうな。一日一時間の時間しか当てられないから、七日間はかかるかもしれない。

ということは、今日から取り掛かって、ギリギリに間に合うということか。

やばい‥‥今からやろう!‥というようなことになり、どうしても動かざるを得なくなるのです。

実は、私が原稿を書くときも、締め切りがあるからこそ書けているようなものです。

これをもし「書ける時でいいですよ」とか「暇な時でいいですよ」とか言われていれば、私の場合、恐らくは一生かかっても書かないでしょう。

ですから、締め切りがなければ、「じゃあ、○月○日までに書いて送ります」と自己宣言することにしています。

締め切りを利用する

考えてみれば、私たちのまわりには、締め切りがたくさんあります。

学生であれば、宿題、レポ-トの提出日、試験の時間など。

社会人であれば、受注した品物の納品期日、原稿の提出日など仕事上の締め切りというものがあります。

その締め切りに間に合うように、依頼された仕事を完成させればよいので、計画も立ちます。そのペ-スを維持できれば、仕事は完遂できるという安心感を持って取り組むこともできます。

時間の活用のうまい人は、この締め切りを上手に利用します。

「いつでもいい」というような甘い気持ちは持たず、「今できることは、今しよう」と早め早めに取り組みます。

今日できることを明日に伸ばしません。そうして、締め切りをきとんと守り、どんどんよい仕事を果たしていくのです。

人生の締め切り

また、私たちの長い人生の節目節目にも、締め切りがあります。

学生がもう少し学生生活を楽しみたいと望んでいたとしても、いずれ卒業しなければなりません。

ビジネスマンがもっと働きたいと願っていても、いつかは定年退職しなければなりません。

ですから卒業も、定年退職も、一種の締め切りのようなものです。

これらの締め切りは、あらかじめ日時が知らされているので助かります。

困るのは、人生最後の締め切りです。

私たちの人生の最後には「死」という締め切りが待っています。死ぬことによって、私たちは人生からこの世の生活から締め出されるのです。

「死」が他の締め切りと違うのは、それがいつなのか分からないということです。

三十年先かもしれないし、一年先かもしれないし、明日かもしれません。

しかし、「死」が例外なく私たち全員を待っているのは確実です。

人生の締め切りが今日がであってもいいように、常に備えを怠らないようにしていたいものです。

コマ切れ時間を活用する「忙中閑あり」ではないにしても、忙しい一日の仕事の合間にふっと時間が空くことがあります。 五分、十分というわずかな時間です。 ...