小事は大事

素直に「ハイ」という心~小事は大事

素直であれば、子どもの人間性も学力も伸びます。

子どもに限らず、大人になってもしかり、素直な人は仕事面でも成長していきます。

でも、「素直になりなさい」と言って、簡単になれるものではありませんね。

たった一言の返事が、素直さを育ていくのです。

素直であれば、伸びる

「学校で素直に先生が言われることを聞いてほしい」、「家で親の言うことを聞き入れてほしい」、そう子供に願わない両親は、まずいないでしょう。

素直さが、いかに大事な人間的素養かは、言うまでもないことかもしれません。

素直であれば、多くの人から多くのことを学べます。誰からも好かれます。人の意見に耳を傾け、自らを正すことも伸ばすことも容易となります。

「経営の神様」と称された松下幸之助氏が「経営のコツは、素直さにある」とまで言ったほど、大人にとっても大切な徳なのです。

では、どうすればこの素直さを身に付けることができるのでしょうか。

素直さが育つ返事

まずは、「ハイ」とハッキリした返事をすることだ、と私が勤務する学校では指導しています。

実は、この「ハイ」という短い言葉こそが、素直な心を育てる大事なキ-ワ-ドなのです。

教育学者の森信三氏は、著書『家庭教育二十一カ条』の「親のいうことをよく聞く子にする秘訣」という章に、次のようなことを書いています。

「人間教育の基盤は家庭教育にあり、その根本は『しつけ』で、これが人間教育へのスタ-トです。このしつけには三つの事柄を徹底させれば、それで親の責任は済むとも言えましょう」。

その三つとは、

一、朝必ず親にあいさつをする子にすること

二、親に呼ばれたら、必ず「ハイ」とハッキリ返事のできる子にすること

三、ハキモノを脱いだら必ずそろえ、席を立ったら必ずイスを入れる子にすることです。

特に難しいことをしなくても、「あいさつ」と「返事」を徹底させるだけで、子供はいつの間にか素直になっていくのだそうです。

しかし、この頃はこのようなしつけがなされている家庭は多くないようです。甘えがちな身近な人に対して、気持ちよく「ハイ」という返事をするのは難しいことだからです。

普通、学校では授業中、名前を呼ばれたら「ハイ」と返事をするようにさせます。

これは小学一年生が入学してきた時にまず初めにしつけるべき授業のマナ-の基本です。「ハイ」という返事は、自分を素直し、まわりの人を幸福にする大事な言葉だと子供たちに教えます。

しかし、一度教えれば、全員がいつもできるようになるものではありません。何度もほめたり、注意を促したりする根気のいる指導が必要です。

数か月かけて継続し、子供の身についたものになるかどうかは、担任教師の意識の高さと根気強さにかかっています。

いつでも、気持ちのよい「ハイ」という返事ができているクラスなら、今問題となっている学級崩壊など起こらないと私は思います。

似たような取り組みは、家庭でも必要です。返事だけでもしつけることに成功すれば、子供たちはより素直に育ち、今よりもっとよい家庭になるのに違いありません。

また夫婦間での気持ちのよい返事のやり取りは子供のよい模範になり、明るい家庭をつくる助けにもなるでしょう。

神様にも素直に

ところで、私たちが本当に素直になるべき相手はむしろ神様です。

私たちが神様に対し、心の中だけでも「ハイ」と肯定的な返事ができれば、まわりの人に対しても自然と素直な心になれるはずです。

そして、きっと個人的にもたくさんの恵みをいただけることでしょう。