天の国の鑑(かがみ)
「天の国の鑑」という言葉から連想したのは、多くの聖人たちのことです。
聖人たちは、この世での模範的で英雄的な生涯によって、また帰天してからはその執り成しによって、私たちを天国に導いてくださる鑑だからです。
幸い、これまで私は聖なる人たちについて三冊の本を書くお恵みをいただきました。
『平和の使徒ヨハネ・パウロ二世』『マザー・テレサ愛の花束』、そして、聖ホセマリア・エスクリバーの生涯を著した『天と地をつなぐ』という本です。
スペインで生まれ、ローマで生涯を閉じた聖ホセマリアは、日本ではあまり知られていないのですが、私をカトリックの信仰に導いた恩人であると言えます。
私だけでなく、聖ホセマリアは、生前、多くの人の鑑となった人でした。
会った人は必ず、師に好感を持ち、微笑みかけられた人は、愛されていると感じました。
話を聞くと、燃えるような火が心に伝わり、言葉を交わした人は、自分のことをすべて打ち明けたくなるほど信頼できました。
「天と地が本当に一つになるのは、日常生活を聖化しようとする皆さんの心の中なのです」と語り、日常生活において神と親しく交わることを薦めました。
その教えと行いを知ると、自分を変えたいという熱い望みが湧き上がってきました。一緒にいると、自分をささげ、神と人を愛することの素晴らしさを味わうことができました。
カトリック教会が、その帰天27年後に、聖ホセマリアを列聖したのは、その教えが世界中の人々のために有益だからです。
今、私が日常生活に喜びが持てるのは、多くの聖人たち、とりわけ聖ホセマリアのおかげです。
実際には会ったことがなくても祈りを通して、聖人たちは影響を与え続けてくださっているのです。
*6月26日は聖ホセマリア・エスクリバーの帰天記念日です。
ラジオ「心のともしび」2015年6月放送原稿