心を開く~悩みや悲しみを聴き受け入れる
自分の心を容易に開けない人は、これまで心を開いたがゆえに傷ついてきたのではないでしょうか。
心の奥にあるものを他人に言葉で伝えるのは勇気がいることです。
たとえば、それが異性への愛の告白であれば、言葉にしたとたん拒絶される可能性だってあるはずです。
または、自分の恥ずかしい過失を認めた言葉であれば、軽蔑されたり、非難されたりする恐れもあるはずです。
こうして過去に深く心に傷を負った経験のある人が、心を開くことが難しくなっても仕方ないと思います。
でも、人間は心を閉ざしたまま、自分の殻に閉じこもって生きていくことは、辛いことです。
誰かがその人の悩みや悲しみを聴いてあげ、その人を否定することなく受け入れ、寄り添って歩むことが必要ではないでしょうか。
家族や先生、友人、あるいは医師やカウンセラーなど、信頼できる人に心を開いて話し、聴いてもらえれば、案外すっきりと落ち着いたり、問題が消えていったりすることがあるものです。
そうして、その人はまた笑顔を取り戻して元気に生活していけます。
有難いことに、私も定期的に心を開いて話ができる習慣をいただいています。
カトリック教会には、キリストが制定した「ゆるしの秘跡」というものがあるのです。
普通、罪を告白すれば、人間社会では裁かれますが、神はゆるしてくださいます。
そのためには、罪を痛悔して神父様に告白することが必要です。また、二度と犯さないと決心し、償いを果たすことも条件です。
「わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである」(マタイ9-13)
そう言われた神は、罪を悔いる人を決して軽んじることはありません。あわれみをもって、ゆるし、受け入れ、寄り添ってくださるのです。
ラジオ「心のともしび」2016年4月放送原稿