チリも積もれば山となります。
一円も一億個あつめれば大金になります。
一つのレンガの上に一つずつレンガを積み重ねることによって、見上げるほどの巨大な建造物もできるでしょう。
すべては小さなことから始まります。
そして、小さなものの積み重ねの結果として、大きなものが生まれてくるものです。
小さなことから大成功へ
人間の行いについても同じことが言えます。
たとえば、大きな大会で優勝するようなスポ-ツ選手は、はじめからそれだけの力量をもっていたのではありません。それまでに日々の小さなトレ-ニングや準備を積み重ねて少しずつ力をつけてきたのです。
大作を描くことのできる一流の画家も、いきなり描けるようになったのではありません。それまでに数え切れないほどのデッサンや小品を描いてきたのです。
世に偉業を成し遂げた人の多くは、すんなりと成就したのではありません。日々の小さな仕事や義務を来る日も来る日もやり続けることによって達成したのです。
はじめの一歩は小さく弱くとも、歩み始めることには大きな価値があります。
日々の一歩一歩は小さくたどたどしくとも、歩き続けるうちに人は思いがけない高い所まで上りつめることができるのです。
小さなことから大きなことへ
逆に、小さなことをなおざりにすると大過をまねくことがあります。
たとえば、飛行機事故。金属には長い年月の活動の間に目には見えない疲労が少しずつたまるのだそうです。金属疲労を蓄積されたままにしておけば、ある時小さなヒビをつくります。そのヒビは次第に広がり隔壁を破壊し、油圧低下、そして操縦不能をまねくのです。
昭和60年、このようにして起こった日航ジャンボ機の墜落事故は死者が520名を出す大惨事となりました。
これも、人の行いについて同じことが言えます。
たとえば、「ウソは泥棒の始まり」ということわざ。
はじめはウソなどつくつもりはなくても、自分の失敗をかくそう、ごまかそうとするうちに、言い訳の中に小さなウソが混じることがあります。
一度ウソをついてしまえば、そのウソがばれないように、また次のウソを重ね、次第にウソをつくことに慣れてきます。
そうすると、人は良心がマヒし、はじめは感じていた良心の痛みをだんだん感じなくなります。そして、他人だけでなく自分自身をだますことに慣れてしまいます。
このような状態に陥ると人は、たとえ不正であっても自分の欲求を満たすために、次第に大きな悪に傾くようになるのです。
このように大きな善も悪も小さなことから始まります。
わずか一言がまわりの人を深く傷つけ、家庭崩壊や離婚につながることもあります。
しかし、わずか一言がまわりの人の心をあたたかくし、よりよい人間関係をきずくものにもなります。
わずか一つの行いがまわりの人を不幸にすることもあります。
しかし、わずか一つの行いがまわりの人を幸福にすることもあります。
私たちがどのような人間になり、どのような生活を送るかは、ごく小さなことにかかっているのです。