隣人を自分のように愛しなさい。(マタイ22-39)
「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。」
これが最も重要な第一の掟である。第二も、これと同じように重要である。「隣人を自分のように愛しなさい。」律法全体と預言者は、この二つの掟に基づいている。
“You shall love the Lord your God with all your heart, and with your soul, and with all your mind.” This is the greatest and first commandment. And a second is like it. “ You shall love your neighbor as yourself.” On these two commandments hang all the law and the prophets.
(マタイ22-37~40)
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世の中にはたくさんのルールや法律があります。
社会のルールや法律が、みんなの幸福のためになればよいのですが、あまりも多くて仔細で、それを守ろうとするとかえって生活が窮屈に感じることがないでしょうか。
イエス・キリストが生きておられた時代のユダヤの国もそうでした。
律法はもともと、10項目からなる「十戒」が基本でした。
ところが、イエスの時代になると人が守るべき掟は、その解釈によって613項目にふくれあがり、「せねばならない」という義務が248、「してはならない」という禁止が365項目となっていたのです。
さらに、これらを守りぬかなければ決して天国には行けないのだ、と主張している人々がいました。ユダヤ教のファリサイ派の人々や律法学者です。
彼らは神の掟のもつ心を忘れ、形のみにとらわれて、民衆の生活を戒律で縛っていたのです。
そういう律法学者のひとりが、イエスに尋ねたことがあります。
「先生、律法の中で、どの掟が最も重要でしょうか」(マタイ22-36)と……。
もちろん、イエスを困らせようとして、難問を投げつけたのです。
それに対して、イエスは少しも動じることなく即答されました。
「『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』
これが最も重要な第一の掟である。第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のように愛しなさい。』 律法全体と預言者は、この二つの掟に基づいている」(マタイ22-37~40)
イエスはここで、二つの掟「神への愛」と「隣人への愛」をあげられています。
ただ、これらは表裏一体なのです。
真の「神への愛」は形式的な礼拝や表面的な掟の遵守だけではなく、日常生活での「隣人愛」によってこそ、まっとうされるということをイエスは教えられたのです。