新約聖書

あるものは三十倍にもなった(マタイ13-8)

あるものは三十倍にもなった(マタイ13-8)

ほかの種は、良い土地に落ち、実を結んで、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍にもなった。

Other seeds fell on good soil and brought forth grain, some a hundredfold, some sixty, some thirty.
(マタイ13-8)

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「種を蒔く人」のたとえ話の続きです。

「良い土地」に落ちた種は何十倍もの実をつけたというめでたい結末です。
ところで、「良い土地」とは、どのような人の状態でしょう。

「良い土地」とは、素直な心の状態ではないでしょうか。
心が素直であれば、わたしたちは人の言葉を聞き入れることができます。
ときには、神の御言葉も……。

たとえば、心を素直にして聖書を読めば、わたしたちの心に響く言葉があるのです。

名著『告白』で知られる聖アウグスチヌスの回心のきっかけもそうでした。
彼は、長い間、自堕落な生活を送っていました。

しかし、母モニカの模範と祈りのおかげで、少しずつ心が素直になり、キリストの教えに耳を傾けるようになってきました。

彼の回心は、ある日突然に起こります。

彼が別荘で瞑想にふけっているときでした。
隣家で遊ぶ子どもたちが「取って読め、取って読め」と歌っているのを聞いて、ふと聖書を開きました。
すると、パウロのローマ人への手紙の次の言葉が目に入ったのです。

「酒宴と酩酊、淫乱と好色、争いとねたみを捨て、主イエス・キリストを身にまといなさい。欲望を満足させようとして、肉に心を用いてはなりません」
(ローマ13-13)

このとき、劇的な回心が起こったとアウグスチヌスは言います。

「わたしはそれ以上読もうとはせず、その必要もありませんでした。というのは、この節を読み終った瞬間、いわば安心の光とでもいったようなものが、心の中にそそぎこまれてきて、すべての疑いの闇は消え失せてしまったからです」(『告白』8巻29章)

アウグスチヌスは、すぐにキリスト教の洗礼を受けました。
その後、多くの人々を教え導き、史上屈指の教会博士ともなったのです。

その回心のきっかけは、聖書の一節でした。
アウグスチヌスという「良い土地」に落ちた種は、何十倍、何百倍もの実りをもたらしたのです。

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