「忙中閑あり」ではないにしても、忙しい一日の仕事の合間にふっと時間が空くことがあります。
五分、十分というわずかな時間です。
しかし、たかが五分とバカにはできません。
塵も積もれば山となる
それが、一日五回あれば、一か月でなんと十二時間半にもなります。十二時間半あれば、文庫本が何冊か読めるでしょう。わずか五分も、まさに塵も積もれば山となるのです。
しかし、この短い時間を活用するのは案外難しいものです。もともと予定されていた時間ではないので、心の準備ができていないことがあり、ボンヤリと過ごしてしまうことが多いからです。
コマ切れ時間をうまく活用するには、自分の人生観なり、目的意識なりをしっかりもっていることが大事です。
超多忙だからコマ切れ時間を活用する
元NHKの名アナンサーで同時に作家でもある鈴木健二氏は、このコマ切れ時間によく手紙の返事を書いていました。
彼のもとには一日三十ないし四十通もの手紙が届きましたが、そのほとんどは全く未知の人からの長い身の上相談だったそうです。
超多忙の人です。読むだけでも大変な量です。しかも、これが毎日毎日続くのですから、ウンザリすることもあったでしょう。
しかし、彼は、これらの誠意のこもった手紙に対して、誠意をもって答えねばならないと考えていました。
ハガキ一枚の数行の返事であっても、一日に三十枚。一枚書くのに三分を要するとして、それだけで一時間半はかかります。
彼は、引き出しの中に常時二百枚ぐらいのハガキを入れておき、仕事と仕事の合間に時間をみつけてセッセと書いていたのです。
自分の人生は残り少ないが、その間にひとりでも多くの人と手をつないで生きていきたいと願っていたからです。
コマ切れ時間の活用法を考えておく
私たちもコマ切れ時間が来たら何をするか、あらかじめ考えておくと良いでしょう。
そして、考えたことを紙に書いて「コマ切れ時間活用リスト」を作っておくと便利です。
例えば、
①読書(二~三ページで一つのテーマを取り上げているような本が読みやすい。すぐ手元に置いておくと便利)
②部屋の整理整頓(全部ではなく、範囲と時間を限定する。例えば、机の上。本棚。引き出しの一つの段などから三分間でできる範囲にとどめる)
③外国語の暗記(単語や短文を二つか三つ覚える)という具合に、自分で決めておけばいいのです。
私は、コマ切れ時間があれば、まずすることは「祈り」だと決めています。
職場である学校には幸いお聖堂がありますので、足を運び、短い祈りの時間を過ごすこともあります。
また、少し姿勢を正して椅子に腰掛け直し、祈りのカ-ドに目を向けることもあります。
目的は、神様を思い出し、心を神様に向かわせることです。
「神様、今日これまでの仕事を捧げます。あなたのために、○○さんのために、もっとよく仕事ができるようにお助けください」。